今回は趣向を変えて、「トレードの連敗は何回を見込めば良いのか」について検証してみました。
(この記事の所要時間は5分です)
目次
1.トレードに負けはつきもの
投資に「負けトレード」はつきものです。
仮に、勝率100%の手法があったとしたら負けトレードはゼロ回ですが、勝率が100%を下回った時点で負けトレードは必ず発生します。
でも、負けトレードはあっても良いのです。
問題は負けトレードで壊滅的ダメージを負ってしまうことであって、負けトレードがある前提の戦略をたてれば良いだけなのです。
というわけで、今回は、その「負けトレードを前提とした戦略」をたてる上で、非常に参考になるであろう検証をしてみました。
ずばり、「連敗は何回まであるのか」です。
2.ざっくりと検証方法を紹介
例のごとくpythonというプログラミング言語を使用しています。
以下の手順でデータを作成します。
- ランダムな0~1の数字を1万個つくる
- その数字に対して、0.5以上なら勝ち(1)、0.5未満なら負け(-1)
※これは勝率50%のケース - そして、連勝と連敗をカウント
すると、こんな感じになります。
あとは、統計をとって、グラフ化するだけです。
統計はこんな感じです。
連勝がmaxで11連勝。連敗がminで12連敗。
データは1万個つくりましたが、連敗がなんやかんやたくさんあって、サンプルは5024個になっています。(大数の法則にのっとるには十分と考えます)
(しかし、勝率50%でも12連敗するんですね。こわいこわい)
そして、グラフ化します。
簡単なグラフです。
横軸が連勝・連敗の回数を表しています。プラスなら連勝。マイナスなら連敗です。
そして、縦軸は、その連勝・連敗が起きた回数を表しています。
3.【予言的中】区間
ごくごく簡単でありきたりなグラフです。
しかし、この簡単なグラフが、統計学では非常に大きな意味をもちます。
なぜなら、このグラフ上に平均と標準偏差の情報を付け加えるだけで予言的中区間を浮き彫りにすることができるからです。
この区間は、出現率95%というものです。
もう一度、さっきのグラフを見てみましょう。
まったく同じに見えますが、便宜上、さっきのグラフの縦軸をちょっといじりました。
回数ではなく、全体に対する、その事象が起きた割合(言い換えるなら確率)を縦軸としています。
これを見ると、1勝と1敗がそれぞれ約25%ずつで、あわせると実に5割を占めていることがわかりますね。
そして、赤線が平均値で、グレー網掛けは平均値から標準偏差✕1.95を足し引きしたものです。
この範囲は、勝率50%の場合、連勝と連敗が「95%の確率でこの範囲内におさまる」ということを表しています。
大事なことなので、もう一度書きます。
95%の確率でこの範囲内におさまります。
つまり、勝率50%の投資なら、5連敗くらいみておけば、ほぼ大丈夫ということです。(残りの5%をどう考えるかはトレーダー次第です。こわいなら範囲を広げましょう)
4.勝率ごとの連敗を調べる
4-1.勝率70%
想定すべき連敗:約3回
4-2.勝率60%
想定すべき連敗:約4回
4-3.勝率40%
想定すべき連敗:約6回
4-4.勝率30%
想定すべき連敗:約9回
まとめ
じつは最近、あらためて統計学をイチから勉強しています。
そんななかでてきたのが予言的中区間でした。20世紀になってはじめて確立された、部分から全体を予測する画期的な手法なのだそうです。
些細なことではありますが、「何連敗を想定すれば良いのか」がクリアになるだけで、資金管理が変わってきます。
とはいえ、あくまでも95%なので、頼りすぎても良くない。バランスが大事です。
Written by「U」