みなさんこんにちは。FX女優の野中ななみです。
毎日色々な国で発表されている経済指標の中で私が気になった物を毎回調べているこのコラムも今回で第7回目になります。
早いですね!!
今回はオーストラリアの指標について勉強してきました!
早速参りましょう!
オーストラリアという国
私はあまり海外に行った事がないのでFXのトレードをしていても実際の通貨を売り買いしているという実感がなくて、オーストラリアで使われている豪ドルも持った事がないので、今回はオーストラリアという国を知るところから始めてみようと思います。
皆さんご存知の通り、オーストラリアは日本の南に位置する、日本よりもはるかに広い土地を持った国です。南半球にある国なので日本とは季節が逆転しており、オーストラリアのサンタクロースは夏にサーフボードで来ると言われています。
使われている通貨は先ほど書いたように、『豪ドル』。FXのトレードをしている方にはお馴染みですね。
50セントコインは丸型ではなく多角形のような形をしているようです。
オーストラリアは経済的に豊かな国だと言われており、1人当たりのGDPが518,501ドルあるそうです。日本は38,917ドルなので日本の10倍以上あることになります。日本も豊かな国であると言えそうですが、その日本の10倍をはるかに超えるオーストラリアはすごいですね。
そしてオーストラリアは最低賃金が世界一高い国だと言われています。
雇用形態によって違いはありますが、オーストラリアの最低賃金は1時間あたり17.7オーストラリアドル。現在1オーストラリアドルは約88円なので、日本円では1557円です。東京都の最低賃金は現在958円なのでかなり差がありますよね。
しかし、物価が高いことでも有名なオーストラリア。地域によっては500mlのコカ・コーラが3.5オーストラリアドルすることもあるそうです。日本円では308円。驚きの物価です。
国民性という観点で見てみるとオーストラリアには「仕事より人生を楽しみたい」という価値観を持った人が多く、効率良く仕事を終わらせて定時で帰り、帰宅後はプライベートな時間を楽しむ人が多いようです。1年単位で長期休暇を取り旅行に行く人も多いのだとか。
その分仕事では効率の良さと即戦力のある人材が求められるので、インターンシップ制度が普及しているとのこと。
働くときは集中して働き、遊ぶときは思い切り遊ぶ、そんな素敵な働き方をしている人が多い国なのかもしれませんね。
今回は、そんなオーストラリアの景気を表す大事な経済指標である、『豪 新規雇用者数・失業率』について書いていきたいと思います。
豪 新規雇用者数・失業率とは
この指標はオーストラリアの雇用統計で、新規雇用者数と失業率の2項目の発表があります。
発表するのは、ABSと呼ばれるオーストラリア統計局( Australian Bureau of Statistics )です。
すごく綺麗な建物!!
発表は毎月中旬、日本時間の10時半(10月から4月はサマータイムのため9時半)に行われます。
アメリカやヨーロッパの指標は時差の関係で日本時間の夜の発表が多いですが、オーストラリアは日本との時差が1時間だけなので、日本時間の午前中に発表されます。
次の発表は10月19日10時30分。
アメリカの雇用統計では、農業人口を除いた「非農業部門雇用者数」が注目されますが、オーストラリアでは業種の区別は無く、該当の月に新たに雇用された人数の推移を見ます。
その代わりオーストラリアの雇用統計では新規雇用者数が『正規雇用』『非正規雇用』『労働参加率』の3つの項目に分かれています。
労働参加率というのは、16歳以上の人口から働けない人を除いた「労働力人口」の割合のことだそうです。
ここでいう「働けない人」というのは、高齢や病気、犯罪などの理由で老人ホームや病院、刑務所等の施設にいる方のこと。つまり、16歳以上の働ける人の割合の増減も毎月見ているということですね。
失業率は言葉の通り、働きたいのに職が無い人の割合を表しています。「働きたい」というのは、ハローワークのような職業を探す場所に登録している人のことを指しますが、アメリカの失業率の時も書いたように、そういった場所に登録はしてはいるものの実際には働く気が無い方も一定数いるため、失業率が0になることは無いようです。
雇用統計の発表ですから、景気状況を表す大事な指標として為替レートに大きな影響を与えます。
新規雇用者数・失業率の推移
2013年から直近までの新規雇用者数と失業率の推移を見てみましょう。
まずは新規雇用者数から。
2014年の8月に非正規雇用が一気に増加し新規雇用者数が12.1万人増という数字を出しましたが、それ以降はおよそ4万人前後を推移しています。
この指標は新しく雇用された人数が前月と比べてどうだったかを表しているため、0を下回ることもしばしばあるようです。
月によって変動が大きいのは、オーストラリアの輸出産業は約23%を鉄鉱石が占めておりこの鉄鉱石産業の良し悪しにより雇用状況が左右されるためだという記述も見受けられました。
(鉄鉱石の高騰により貿易収支が大幅に黒字になると為替レートが上昇し労働コストが上がってしまう。それが雇用に影響を与えるとのこと。)
続いて失業率を見てみましょう。
失業率は概ね5%後半を推移しています。アメリカは5%が完全雇用の状態だと言われているのでそれに比べると少し割合が高いですね。
ただし現在は2014年や2015年に比べて低水準になってきているようです。
発表後の値動き
次に、発表後の値動きを見てみましょう。
◯7月20日発表(6月分雇用統計)
この月は新規雇用者数が事前予想よりも僅かに悪かったにも関わらず豪ドルは89.350円あたりまで上昇しました。この月は正規雇用が6.93万人の増加とかなり良い数字だったため豪ドルが買われたようです。
正規雇用が6.93万人増加しているにも関わらず全体の新規雇用者数は1.4万人の増加にとどまっているということは、非正規雇用は-5.53万人だったと推測されます(6.93万人-1.4万人=-5.53万人)。
指標発表直後は価格が上昇し大陽線が出ましたがすぐに元の価格帯に戻り、88円台後半を推移しています。
◯8月17日発表(7月分雇用統計)
8月は事前予想よりも良い結果が出ました。しかし、それにも関わらず豪ドル円チャートは87円を割れ混んで下落しています。
この月は非正規雇用は4.82万人増という結果だったのですが、正規雇用が2.03万人減少しており、それが豪ドルが売られる原因になったようです。
確かに、6.93万人増加している7月の正規雇用者数に比べると物足りなさを感じますね。
これを受けて発表直後は豪ドルが86.9円あたりまで売られました。ただしその後すぐに買い方が勢力を増し、価格を上に押し上げたことで下ひげの長い陰線になっています。価格が押し戻された後は発表前と変わらない価格帯で推移していますね。
◯9月14日発表(8月分雇用統計)
9月は新規雇用者数が事前予想よりもかなり良い結果が出ました。それを受けて大陽線が出現しています。
88.750円近くまで価格が上昇していますね。
正規雇用4.01万人増加、非正規雇用1.41万人増加と正規雇用者数も順調に増加しました。
チャートは大陽線が出現した後、上昇分の約半値戻して推移しています。このように大陽線(または大陰線)が出現した後、約半値戻して推移するというのはよくあるパターンであるように思えます。このような動きが多いのは、ある程度価格が動くと上昇なら利益確定のための売り注文、下降なら利益確定のための買い注文が出るためだと言えるでしょう。
今回は直近3ヶ月の価格変動を見ましたが、雇用統計だということもあり発表後の値動きは他の指標に比べて大きいですね。
正規雇用が前月に比べ大きく増加した月は全体の新規雇用者数の増加が少なくても豪ドルが買われ、その逆で、全体の数字は良くても正規雇用が減少している月は豪ドルが売られるという傾向にあることから、正規雇用者数の増減も重要視されていることが分かります。
正規雇用が増えるということは、考えられる可能性としては
・アルバイトや契約社員などの非正規雇用だった人が正規雇用に登用される
・移民等の理由で新たにオーストラリアに来た人、または新社会人の年齢に達した人達の内多くが正規雇用で雇われる
等が挙げられます。
この2つはどちらも会社や国の景気が良くなければ行えないことなので、正規雇用者数が大きく増えると豪ドルが買われるという関係も頷けます。
新規雇用者数は直近2ヶ月は上昇していますし、失業率は緩やかでながらも底を切り下げているので、今後更に新規雇用が増え失業率が下がっていく可能性もありそうです。
豪ドル円のトレードをする上でオーストラリアの雇用統計は欠かせない経済指標なので、今後も注視していきたいと思います。
今後の注目経済指標
◆10月17日
ドイツ ZEW景況感調査
アメリカ 鉱工業生産
◆10月19日
オーストラリア 雇用統計
アメリカ 新規失業保険申請件数
日本 通関ベース貿易収支
◆10月24日
アメリカ 中古住宅販売件数
◆10月25日
ドイツ IFO景況指数
イギリス 四半期GDP
アメリカ 耐久財受注
◆10月27日
アメリカ 四半期GDP
◆10月30日
アメリカ個人支出、個人所得
今回も最後までお読み頂きありがとうございました!
野中ななみ