寺子屋チャートコラム 禅之六 MACD篇

瞬くん
浴衣を着た可愛い女の子と夏祭りに行ける人生と行けない人生があったら、
僕は迷わず前者を選ぶ。
小次郎講師
え…?きゅ、急にどうしたんですか?
日照時間の少ない夏のせいでビタミンDが足りなくなっちゃったんですか?
瞬くん
だってだって!!
花火大会に行くカップルを横目で眺めるだけの人生なんてあんまりだ!!
小次郎講師
(いきなり煩悩全開だなぁ…ここ、お寺だってこと忘れてるのかな?)
瞬くん
もうこの際!小次郎講師でも!いいです!
連れてって!私を祭りに連れてって!
小次郎講師
(ひみつ道具を出してくれるあの国民的アニメでよく見る展開だ…)
瞬くん
じゃないと…もう僕の心が綿菓子のように…
ほろ…ほろろ……
小次郎講師
わ、わかりました、わかりました…!
今日はMACDというカッコいい名前のテクニカル指標を教えてあげますから!
瞬くん
MACD!?響きがかっこいい!
小次郎講師
これを使いこなせればモテる…かも!?
瞬くん
やりぃ!!これで僕もイケてる側の仲間入りっすね!
小次郎講師
(かも!?だから私は決して嘘は言っていない…。)

MACDとは

小次郎講師
テクニカル指標には、前回教えた「移動平均線」のような“トレンド系指標”というものと、もう一つ“オシレーター系指標”と呼ばれるカテゴリーがあります。
瞬くん
チャートで言ったら大体下の方に表示されてるやつですよね。
小次郎講師
そうですそうです。トレンドの発生を見極め、そのトレンドにエッジ(チャンス)があるかを教えてくれる“トレンド系指標”と、主に相対的な水準で現在の価格が全体的にどんなものなのかを教えてくれる“オシレーター系指標”
だからオシレーター系の指標はもみ合い相場の時に力を発揮する、なんてよく言われますね。
瞬くん
他にオシレーター系にはどんなものがあるんですか?
小次郎講師
ストキャスティクスだとかRSIだとか。
まぁこれは追い追いお話できればと思っています。
瞬くん
そんな中で今回はMACDだと!
小次郎講師
このMACD、実は前回お話しした「移動平均線」ととても相性の良いテクニカル指標なんです!むしろ、移動平均線から算出されるオシレーター系指標なので、MACDをトレンド系の指標として紹介する人も多いくらいです。
瞬くん
なるほど、その気持ちは分からなくはない、と。
小次郎講師
ですね。前回はトレンド系の指標だったので、今回はオシレーター系指標のMACDを学んでいきましょう。
瞬くん
はいっす!
小次郎講師
まずこれ、MACDと書いて「マックディ」と読みます。
正式名称は「Moving Average Convergence Divergence」。その頭文字を取って「MACD」。
瞬くん
MovingやAverageは「移動」とか「平均」とか、なんとなく伝わってきますけど、ConvergenceとかDivergenceとかはさっぱりピンと来ないっすねぇ…
小次郎講師
和訳するとConvergenceが「収束」、Divergenceが「発散」や「拡散」。
つまり直訳すると「移動平均収束拡散法」ですね。
瞬くん
うーん。そう言われても余計こんがらがっちゃんこ。
小次郎講師
実はそうでもないんです!この名前の意味がわかれば、もうMACDはもらったも同然!この日本語が分かりづらいだけなので、小次郎講師流訳は「移動平均線くっついたり離れたり分析
瞬くん
あ!「収束=くっつく」で「拡散=離れる」ですか!?
小次郎講師
そうら、名前を理解しただけで、もうMACDの本質が見えてきましたね。
MACDは、実は移動平均線の改良バージョン。
どういう分析かというと、二本の移動平均線がくっついたり離れたりする“間”を見て分析する手法なんです。
瞬くん
なるほどー。だから移動平均線と相性が良いと。
小次郎講師
では早速MACDを付けたチャートを見てみましょう。
下部に表示されている指標がMACDです。

瞬くん
折れ線が二本と棒グラフがあるっすね。
小次郎講師
この赤色の折れ線が「MACD」という名の線、水色が「シグナル」という
名の線、そして黒の棒グラフが「ヒストグラム」。
まずはこの名称を覚えましょう。
瞬くん
MACDの中に「MACDという線」があるのはややこしくないすか!?
考えた人のネーミングセンス疑わざるを得ないっすねぇ…キラキラネーム?
小次郎講師
こっ、こら!滅多なことを言うもんじゃない!
気持ちは同じですが、当初この分析を作った時にはMACDという線1本のみの指標だったんです。
それが後世に改良されて他の2つの機能も付いたので、元々あった線はMACDという線のまま残ってるんです。
ここでは混同を避けるために、この線の方はカタカナで「マックディ線」と呼びましょう。
瞬くん
(命名を「メイン・ポリゴナル・ライン」とかにした方が中二病的にはグッと来るのになぁ…)
小次郎講師
他の2つの線はまた後ほど触れますが、売買シグナルを出す線だから「シグナル」、柱状図(棒グラフ)を英語で言うとhistogramだから「ヒストグラム」と、実は安易な名前なんです。
瞬くん
MACDという名前はかっこいいのに…!
小次郎講師
今日はメインの線である「マックディ線」の話をしていきましょう。
瞬くん
ではまず、お決まりのあれからっすね!
小次郎講師
そうそう。小次郎講師流学習ルール。

1、計算式を覚える。
2、計算式の意味を理解する。
3、計算式がどこを見ているかを知る。
4、その指標の買いシグナル・売りシグナルを学ぶ。
5、それが何故買いシグナルなのか、何故売りシグナルなのかを理解する。

これはいつでも大切ですよ。

瞬くん
まずは1、計算式をば!
小次郎講師
マックディ線=12日移動平均線 — 26日移動平均線
瞬くん
ありゃ、意外や意外、シンプルっすねぇ。
2本の移動平均線の間隔が現れて来るわけっすか。
小次郎講師
そうなんです。このシンプルさこそがMACDが使い易い要因。
決して難しくないんです。
ただし、この移動平均線は指数平滑移動平均線(EMA)。
瞬くん
普通の移動平均線とは違うんすか!?
小次郎講師
これも細かくは別の機会で教えたいのですが、とりあえず今は、
「指数平滑移動平均線とは直近のデータに比重を置いた移動平均線のこと。」
と覚えてくれれば大丈夫です。移動平均線の変化形のひとつですね。
基本的考え方は今までの移動平均線と同じですよ。
瞬くん
とにかく、12日と26日の指数平滑移動平均線の差がマックディ線の折れ線グラフになるってことですな。
小次郎講師
では続いて
2、計算式の意味を理解する。
3、計算式がどこを見ているかを知る。
ちなみに12日・26日というのは変更可能なパラメーターですが、MACDではこの数値が基準ですので、まずは当面この数値を変える必要はないでしょう。
瞬くん
でも2本の移動平均線の差が分かったからといって、何がどうなるんですか?
小次郎講師
じゃあ下の図はマックディ線だけを描画したMACDですが、2つの線の差を表すマックディ線が0に来たということは、どういう状態かわかりますか?

瞬くん
差が0…。つまり間隔がない…。ハッ!?
小次郎講師
(探偵モノのアニメみたいだな)
瞬くん
2つの移動平均線がそこで交わってる!!紫の縦棒のところ!
小次郎講師
その通り!
2つの移動平均線がクロスしたということは、前回も紹介したゴールデンクロスとデッドクロスが起こっているわけだから、マックディ線は移動平均線における一番の売りサインと買いサインを見ているんですよ。
瞬くん
ということは
4、その指標の買いシグナル・売りシグナルを学ぶ。
としては、

・マックディ線がマイナスから0を超えてプラスに・・・買いサイン
・マックディ線がプラスから0を割り込んでマイナスに・・・売りサイン

ちゅーことですね!

小次郎講師
そこからさらに
5、それが何故買いシグナルなのか、何故売りシグナルなのかを理解する。
としては、

マックディ線がマイナスからプラスに転ずるとは、2本の移動平均線がゴールデンクロスしたことを示す=買いサイン
マックディ線がプラスからマイナスに転ずるとは、2本の移動平均線がデッドクロスしたことを示す=売りサイン

と言えますね。

瞬くん
ふんふんふん。

…ハッ!?
でもでも…

小次郎講師
どうしました?
瞬くん
ってことは、わざわざMACD付けなくても良いのではないかという矛盾が生じてきやしませんか!?
そもそも移動平均線見てたら、それだけでクロス起こるわけですし…。
小次郎講師
うーん。今回は瞬くん男のヤル気で良い線いってるなと思いましたが、
今一歩のところで理解が甘い。
瞬くん
急に辛辣!!
小次郎講師
移動平均線を見てるだけよりも分かりやすくマックディ線が教えてくれることといえば…!?
瞬くん
もう一度上のマックディ線の図を見てみると……

ハッ!?

恐ろしい子…!

小次郎講師
(『ガラ◯の仮面』みたいになってきちゃった…)
瞬くん
2本の移動平均線の間隔が段々狭まって来てることがMACDだと一目で察知できるんですね!
小次郎講師
ずばり!
マックディ線がマイナスの底から0ラインに向かって上昇し始めているということは、2本の移動平均線が間隔を狭めながらゴールデンクロスに向かっているということ。
マックディ線がプラスの天井から0ラインに向かって下降し始めているということは、2本の移動平均線が間隔を狭めながらデッドクロスに向かっているということ、に他ならないんです。
だからマックディ線を見れば、ゴールデンクロス(デッドクロス)するかなり前からその予兆を察知して、準備を以って仕掛けることが出来る!
瞬くん
移動平均線最大の売買シグナルである、ゴールデンクロス・デッドクロスを先読みしてくれる指標がまさにMACDなのか。
小次郎講師
そうやって物事の本質を知る男は、なかなかにかっこいいですよ瞬くん!
瞬くん
じゃ、じゃあご褒美として…!?
小次郎講師
お祭りに行きましょうか!
瞬くん
やったー!!
男二人の変なデートだけど、この際背に腹はかえられない!!
小次郎講師
その代わり縁日の「型抜き」に失敗して賞金逃したら…分かってますね?
瞬くん
あ、悪い大人の目をしている!
これ僕全然楽しめないパターンだ!!
小次郎講師
MACDの続きは、祭りから帰って来てからのまた次回…。
これが本当の「後の祭り」ってか、ククク…。
瞬くん
(『カ◯ジ』のようで恐ろしすぎて笑えない…)

おしまい

おすすめ


公式インジケーターを利用する