寺子屋チャートコラム 禅之十七 CCI篇

〔CCI前編の記事はこちら〕

小次郎講師
さぁ、
この前の教えを思い出して、今日で一気にCCIをマスターしちゃいましょう !
CCI後編スタートです。
瞬くん
時間おいて脳みそリフレッシュしたんで、バッチ来い!

 

CCIおさらい

 

小次郎講師
前回までのおさらいになりますが、
CCIは移動平均線乖離率の親戚で、
「今の価格」が「平均的な価格」とどれくらい離れているのかを見ているだけの
指標でしたよね。
瞬くん
式は複雑でしたが、概要をまとめるとシンプルっすね。
小次郎講師
そうそう。そしてアルファベット「TP」は代表値を表しているだけだと。
瞬くん
高値と安値と終値の3つを足して3で割ったものが代表値=TP。
小次郎講師
ということは、前回瞬くんが”果樹園マーク”と言っていたこの「σ」と、
なぜ「0.015分の1」なんてヘンテコな数値をかけるのかさえ分かれば
CCIも攻略完了です。

瞬くん
ここらへんが難しそう…ぐぬぬ。
小次郎講師
ここがCCI攻略の天王山ですよ。
でも任せてください。その難所を分かりやすくし、一緒に乗り越えるのが小次郎講師の使命ですから。

平均偏差とは

 

小次郎講師
まずこの記号「σ」、これは「シグマ」と呼びます。
瞬くん
なんか数学の授業でよく聞いたような…
小次郎講師
よく見たのは「Σ」こういう記号ですよね?
瞬くん
それだー!!!!サブイボが…!
小次郎講師
高校数学の拒否反応出さない!「Σ」も「σ」も同じシグマ。
…って私も文系なので大丈夫ですよ。
瞬くん
ほ、本当ですか!?
小次郎講師
前回も見た、CCIのこの部分と移動平均線乖離率の式とを並べた図。
これを見ると「代表値のσ」と「n日移動平均」がほぼイコールということがわかりますよね。

 

 

瞬くん
この2つの式の本質は同じ、って話でしたもんね。
小次郎講師
つまりこの「σ」も何かの平均値。
何の平均なのかと言いますと「ある期間の代表値の“平均偏差”」です。
瞬くん
平均…へんさ??
小次郎講師
この「偏差」という考え方、統計学に用いられるものなんですよ。
チャート分析もある意味では「過去のパターンから統計を取って未来を予測する」わけですから、似たような性質を持っていますよね。
瞬くん
言われてみればそうですねぇ。
小次郎講師
我々は何も数学や統計学の専門家になろうっていうんじゃありませんから、
専門的に難しい部分まで理解せずとも良いのです。
ですので、平均偏差の概要を知って、それを計算式の中で使いこなせれば上出来。
瞬くん
って、そこが難しいんですよ…!
小次郎講師
大丈夫です大丈夫です。
同じ偏差を用いた考え方を使用するのが、あの有名なテクニカル指標「ボリンジャーバンド」。瞬くんも知ってますよね?
瞬くん
はい!確かに知ってますとも。
小次郎講師
ボリンジャーバンドでは「標準偏差」という考え方を使うんですが、
それは今度ボリンジャーバンドの解説をする時に詳しくお教えするとして、今日はまず「平均偏差」。
両者とも考え方は同じですが、
標準偏差よりも平均偏差の方が簡単だと思います。
という意味で、良かったですね!
瞬くん
(まだ概要が分かってないので、手放しでは喜べない…)
小次郎講師
これら2つの考え方に共通してるのは「価格変動の大きさ」
つまり「ボラティリティ」を表すものだと、まずは思ってください。
瞬くん
了解です。まずはそこから。
小次郎講師
では、平均偏差の計算の仕方から見ていきましょう。

瞬くん
絶対値ってなんでしたっけ…?昔学校で習ったような…
小次郎講師
言葉で説明すると、
「数直線上のある点と原点との距離」と言えますが、
分かりづらいので図で見てみましょう。

小次郎講師
この場合だと、どちらも中心(原点)から5ずつ離れているので、
−5の地点も+5の地点も距離は「5」ということになりますね。
瞬くん
距離にマイナスはないですもんね!
小次郎講師
分かりやすく言えば
「基本となる場所からどれだけ離れてるか」
という意味です。
瞬くん
あ!だから絶対値は正の値にしかならないとか数学の先生に言われてたの、思い出しました!
小次郎講師
それを上に出した平均偏差の計算の仕方に当てはめると、
絶対値で出した、各データと平均値(原点)の差(②)を、
さらに平均する(③)、ということです。
瞬くん
ふむふむ。平均化の作業を2回と。
小次郎講師
各データと平均値の差のことを「偏差」と言いますので、
「偏差を平均したもの」と言い換えることもできますね。
瞬くん
それで「平均偏差」か!
小次郎講師
そもそも受験でよく聞くような”偏差値”も、
あなたは平均点とどれだけ離れてますよ、ってことを教えてくれるものさしですからね。
瞬くん
偏差値50が平均点。
そう言われると身近に感じるなぁ。
小次郎講師
じゃあ、この平均偏差をテストの点数で説明してみましょうか。
100点満点のテストの平均点が60点だったとしましょう。
そしてあるクラスの子らの点数が以下の通り。

瞬くん
生徒数が少ない山の上の学校みたいだ…
小次郎講師
分かりやすくする為に人数減らしているだけなので、余計なこと言わない!!
瞬くん
は、はいっす!!
小次郎講師
この各自の点数と平均点との差が「偏差」。
でも絶対値、正の数で表したいので、平均点との”距離”と考えるとこう。

瞬くん
で、この距離の(偏差の)平均を求めると、それが「平均偏差」になると。
小次郎講師
そうです!
よって先ほどの点数表に平均偏差を付け加えると、こういうことになります。

瞬くん
このクラスの生徒たちは、平均点と平均的に8.8点離れてるってことが分かるんですね!
小次郎講師
単語が重複しちゃってますが、そういうことです。
じゃあさっきのものを1組として、2組はこういう成績でした。

瞬くん
あれ…?
平均点は一緒なのに、平均偏差は2組の方が大きい…。なんでだろ?
小次郎講師
1組は最低点40点と最高点75点に対して、2組の方は最低35点と最高91点で、点数のバラツキの幅が広いですよね?
瞬くん
確かに点数の良い子と悪い子の振れ幅が大きい。
小次郎講師
そういう場合、平均は同じでも「平均偏差」は大きくなるんです!
これが価格に当てはめて言うと「ボラティリティの高い状態」
瞬くん
やっとチャートに話が戻ってきた!!
小次郎講師
つまりこの「σ」は平均偏差を表しているので、
ある期間の値動きの幅が大きいんですか、小さいんですかということを表しているに過ぎないんです!

瞬くん
平均値を見てるので、やっぱり移動平均線乖離率の方の「n日移動平均」の部分と考え方は一緒なんですね。
あ、ところで平均偏差の”ある期間”って何日間の値幅を見るんですか?
小次郎講師
CCIの場合は移動平均線乖離率と同じく14がよく使われますね。
瞬くん
まとめると
「今の価格と14日移動平均の価格との差、これがどのくらい差があるのが平均的な状態か。」を、この平均偏差「σ」で表しているんですね。

1÷0.015の意味

 

小次郎講師
それでは満を持して、
最後の鬼門のココの話をしましょう。

小次郎講師
と、その前に前回したこの会話の部分を覚えていますか?
(ほわほわほわ〜ん)

瞬くん
効果音つけて画面キャプチャー見せなくても覚えてますよ…!
小次郎講師
記憶力を試しました 笑
というのは置いといて、この部分をもう少し掘り下げて考えると
「数値が100を超えると売りサイン」とはどういうことか。
瞬くん
100以上になると平均値と離れすぎですよ!ってことですよね。
小次郎講師
そう、意味合いはそうなんです。
それをCCIで計算式に表すとこうです。

 

 

瞬くん
代表値とか取っ払って、式を簡略化してますね。
小次郎講師
で、数学的な話になりますが、
この式は書き換えるとイコールこうです

 

 

瞬くん
分数のかけ算は分子同士、分母同士をかけるというアレだ。
小次郎講師
そして確認ですが、不等号の右と左に同じ正の数をかけても
不等号は変わらない、ということは知ってますよね?
瞬くん
3>2の左右に10をかけても不等号は変わらず式は成立するって意味ですよね?
小次郎講師
おぉ!よく分かってるじゃないですか!
瞬くん
これが僕の算数のギリギリです 笑
小次郎講師
では、それに従って式を解き進めて行ってみましょう。

小次郎講師
の部分はCCIが100を超えることが1つのサインですよ、という意味。
は式を簡略化するために不等号の左右を100で割ったもの(100分の1を掛けたもの)。
で0.015×100を計算し
は分母があると分かりづらいので、分母を消すために左右に「1.5×平均偏差」をかけたもの
瞬くん
おぉ!だいぶスッキリしましたね!
小次郎講師
最終的な式がこちら。

小次郎講師
いいですか瞬くん。
この式から分かることは
CCIが100を超えるということは、価格と移動平均線の差が、平均偏差(つまり価格と移動平均線の差の平均)の1.5倍を超えたという意味なんです。

瞬くん
そうか。
例えばある期間の平均偏差が100円、つまり価格と移動平均の差=100円が通常運転の状態で、それが1.5倍の150円離れてたら、なかなか離れてるな!と思いますもんね。
小次郎講師
そう考えるのがCCI。
言い換えると、
平均偏差の1.5倍上に価格が離れること=CCIが100を越えるということ
平均偏差の1.5倍下に離れることが=CCIが-100を越えるということ。

 

本当の買いシグナルと売りシグナル

 

瞬くん
でも、さっきの画面キャプチャーの会話を思い出すと、
100を超えてもそれだけを売りサインとしてはいけないんですよね?
小次郎講師
価格と移動平均との差が、通常時の1.5倍というのは
トレンドが発生していたら十分あり得る数値。
そこで売りを仕掛けてもまだまだ価格は上がっていくかもしれません。
瞬くん
じゃあ流石に200や−200を超えたら買われ過ぎ売られすぎっすよね!?
小次郎講師
200を超えるということは、通常時の乖離率に対して現在は3倍になっているということです。
瞬くん
200なのに3倍…?なんでだ?
小次郎講師
先ほどの式は100を基準に考えていましたから、100の部分のそこの数字にXを代入してみましょう。

瞬くん
このXの部分が200だと…えーと。
小次郎講師
0.015×200×平均偏差で答えは「3×平均偏差」になります。
瞬くん
ホントだ3倍だ!
確かに3倍も離れてたらヤバイっすよね。
小次郎講師
ということで理論上はCCIは200、300超えもあり得ますが
それだけ通常との乖離が激しいレアな状態と考えてください。
瞬くん
でも、それがレアな珍しい状態ってことは、
トレンドの勢いが弱まってきたら通常の乖離状態に戻っていく、と。
小次郎講師
そう、そこの考え方が大事なんです!
離れ過ぎが戻ってきたら、トレンドの勢いがなくなってるという意味ですから、トレンドの終焉が近づいていることの予兆でもあります。
そうすると今度は反対のトレンドが発生するかもしれない、ということで逆の売買を仕掛けていく。

瞬くん
これがCCIの売買シグナルとその根拠なんですねぇ。
小次郎講師
CCIは移動平均線乖離率を進化させたもの、という説明がようやく分かったでしょう?
瞬くん
合点がいきました!
CCIは移動平均線乖離率に”代表値”と”平均偏差”の考え方をプラスしたものなんですね。

小次郎講師
まぁまぁダマシも多いのでCCIだけを売買の根拠とするのではなく、他の指標との組み合わせで使うのがオススメですが、
ここまでCCIを詳しく説明している解説は他にありませんよ 笑
一度では分からないことも繰り返し考えていけば、いつか必ず理解できるようになりますので、CCIの今回と前回の記事を繰り返し復習してみてくださいね。
瞬くん
まだ頭こんがらがってますが、決して諦めないっす!
…でも不思議と小次郎講師と一緒に順を追って見ていくとすんなり理解できるんすよね。
小次郎講師
おぉ、それは嬉しいですね。
瞬くん
後で一人で考えると途端に分かんなくなってしまうんですけど。
小次郎講師
勉強というものは往々にしてそうですが、
自分の頭でしっかり考えるその瞬間に、教わったことが身についていくんですよ。
瞬くん
でも、それだと時間かかってしまうので、手っ取り早く小次郎講師レンタルしてもいいですか?
小次郎講師
なんと意志薄弱…!!
瞬くん
一家に一台、小次郎講師。
小次郎講師
昭和の家のテレビか!

おしまい

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