寺子屋チャートコラム 禅之十六 CCI篇

瞬くん
梅がそろそろ咲き始めましたねぇ。風流風流。
小次郎講師
もうそんな季節ですねぇ。
瞬くん
こういう時こそ日本人で良かったと思いますよ。
小次郎講師
最近、おにぎりでも「梅干しが苦手」と言う人が増えてますが、瞬くんは平気ですか?
瞬くん
大好きっすよ!昔からおばあちゃんがよく食べさせてくれて。
あの酸味は疲れが吹き飛ぶ感じしますもんね。
小次郎講師
好き嫌いがなくて結構結構。
瞬くん
あ〜、梅干しのこと考えただけで、口の奥がきゅーって酸っぱくなって唾液出て来ますよね。不思議。
小次郎講師
それは過去の経験を基にした、一種の条件反射なんですよ。
瞬くん
“パブロフの犬”的なですか?
小次郎講師
そうです。その記憶が副交感神経を刺激して唾液の分泌を促すのです。
「梅を望んで渇きを止む」なんていう、古くは三国志の時代に生まれた中国のことわざもあるくらいですから。
瞬くん
へぇ!今も昔も変わらずなんですね。
小次郎講師
また、その考えて出て来ただけの唾液にも、各種のホルモンや消化酵素も含まれていて、身体にはとても良いらしいですよ。
瞬くん
小次郎講師、博識ですねぇ!
小次郎講師
私も、良い形のチャートを見ると思わず”垂涎”してしまうもので。
瞬くん
職業病かもしれませんが、確かにエッジのある”オイシイ”チャートを見ると
我々ヨダレ出そうになりますもんね 笑

CCIって?

小次郎講師
今回はオシレーター系の「CCI」というテクニカル指標を勉強していきましょう。
瞬くん
この指標も買いや売りの”オイシイ”ところを教えてくれるんですね!?ハッハッ!
小次郎講師
そんなワンコみたいに反射で食いつくんじゃありません!
この指標もちゃんと学ばないと、どこが”オイシイ”ところか教えてくれませんよ!
瞬くん
そうでした…!概要だけで食いついちゃダメだダメだ。
小次郎講師
「CCI」とはCommodity Channel Indexの略。
1980年にアメリカの投資家ドナルド・ランバート氏によって開発された
オシレーター系のテクニカル指標です。直訳すると「商品チャネル指数」。
瞬くん
チャネル、って「チャネルライン」とかのチャネルですか?
小次郎講師
そうそう。そもそも「Channel」とはテレビのチャンネルと同じ意味で、
経路、水路、溝などという意味があります。
チャートで言うとトレンドラインの反対側に平行に描かれる
このラインを含めチャネルラインですから、
確かに真っ直ぐな”水路” っぽいですよね。

瞬くん
本当だ。流れが分かりやすいっす。
小次郎講師
ランバートさんは元々商品市場の季節性や需給サイクルの
始まりや終了を読み取る為にこの指標を作り出したそうです。
瞬くん
金とか穀物とかの商品市場で使われてたんすね!
小次郎講師
作った時はそうでしたが、今ではFXや株式にも広く使われています。
チャートがあるものは同じ考え方が出来ますから。
瞬くん
これもオシレーター系のテクニカル指標ってことは
また−100から+100の間で動くんですか?今まで習ったRSIやストキャスのように。
小次郎講師
お!知識の蓄積がキチンと積み重なっているようで嬉しいですね。
瞬くん
えっへん!
小次郎講師
理由は後でしっかりと説明しますが、CCIは理論的に100を超えていくらでもつける可能性があります。
ただ、大体は大きくても−200〜+200の間ですけどね。
瞬くん
結構振れ幅あるんですね!
小次郎講師
これがCCIを付けたチャート。

瞬くん
あら、本当に100を超えてらっしゃる。
小次郎講師
そして、一般的には数値が100を超えると買われ過ぎだから売りサイン、
−100を下回ると売られ過ぎだから買いサインと言われますが…
瞬くん
そういうのを鵜呑みにしちゃダメってことですね!?(にやり)
小次郎講師
そこまでもう分かってるとは!
瞬くん
いつもこのパターンですから、いくら僕だって分かって来ますよそりゃ 笑
小次郎講師
確かにそのパターンですもんねいつも…!
これは失礼いたしました。
瞬くん
へへ、僕だって成長してるんすよ。
小次郎講師
じゃあ、そんな頼もしい瞬くんに、
まずはCCIの計算式からお見せしましょう。

CCIの計算式を覚える

小次郎講師
CCIの計算式は以下の通り

瞬くん
おぎゃー!!!!!
もう無理!!おうちに帰りたいぃぃぃ!!!
小次郎講師
(さっきまでの頼もしさはどこへ………)
瞬くん
助けてぇぇ!!数字に殺される!!
小次郎講師
これこれ。
お決まりのパターンで、数式見ただけで拒絶反応起こさないでください。それに謎のホームシックまで発症しちゃって…もう。
瞬くん
だって、こんなの分かるわけないじゃないっすか!
読者の皆さんだってそう思ってますよ!
小次郎講師
どく…しゃ?
瞬くん
今はそこトボけなくていいっすよ…!
小次郎講師
“分かるわけない”なんて、そんなことありませんよ。
それを分かりやすく教えるために私がいるんですから。
瞬くん
ほ、ほ、ほ、ホントに!?!?
小次郎講師
今までだってそうだったでしょう。
まぁでも、確かにこの式を見ただけじゃ
なんのことかチンプンカンプンですよね。
瞬くん
TPとかなんやねんホンマ…エグいわ……
小次郎講師
この式はこういうものだったとひとまず置いておいて、
計算式の意味から紐解いていきましょうか。

CCIの計算式の意味

小次郎講師
時に瞬くん、別の指標で「移動平均線乖離率」というものは
ご存知ですか??
瞬くん
移動平均線乖離率…?
いえ、知らないですけど名前からはなんとなく想像がつきます。
移動平均線と今の価格がどれくらい離れてるかを見るもの、とかですか?
小次郎講師
そうです!名前からして分かりやすいですもんね。
基本的に価格と移動平均線の関係は、一緒に上昇し、一緒に下落する。
ですので、時にその間隔が離れ過ぎたとしてもやがて修正されてくるという考え方で成り立つもの。
瞬くん
その寄り戻しのところを狙っていくんですね。
小次郎講師
どちらかと言うと、
トレンドの発生や終了を予兆してくれるもの、という考え方ですね。
例えば20日間なら

小次郎講師
というシンプルな計算式で、
仮に現在の価格1000円、20日の移動平均の値が900円だったら
(1000−900)÷900=0.111111…
で、今は約11%平均値と離れて価格が上にあるんだなぁ、ということが分かります。
瞬くん
単純明快っす。
小次郎講師
ちなみに、このテクニカル指標の買いサイン・売りサインは小次郎講師流で言えば
・下降していた乖離線が底を打って上げ出したら買いサイン
・上昇していた乖離線が天井を打って下げ出したら売りサイン
となります。
まぁかなりザックリ目の指標ですが。

瞬くん
トレンドが勢いを失くして移動平均線が価格に近付いて来たら(乖離が解消されて来たら)、普通「あぁ、そろそろこのトレンドも終わりかな」と思いますもんね。
小次郎講師
ただし!
何%乖離したらその後修正してくる、という明確な数値はないので、
「〇〇%以上離れたら反動が来る、つまり〇〇%下に離れたら買い、〇〇%上に離れたら売り」なんて書かれた本があったら、それは眉唾物なので騙されないように注意。
瞬くん
りょ、了解っす!気をつけます。
にしても、師匠。この分かりやすい「移動平均線乖離率」とCCIの話がどうやって繋がるんですか??
小次郎講師
結論から言うと
CCIはこの「移動平均線乖離率」の親戚!
瞬くん
えぇっ!こんなシンプルな乖離率さんと親戚とはとても思えないっすよ!!
小次郎講師
乖離率に失礼ですよ!
シンプルなものが悪いなんてことは全くありません。
真実というものは突き詰めれば往々に”シンプルな”答えに辿り着くのです。
瞬くん
どこがどう似てるんだろうか…
小次郎講師
まずは、この「移動平均線乖離率」「CCI」が近しい考え方で出来ているということを頭に入れてもらって、次に進みましょう。

【TP】=【Typical Price】?

小次郎講師
ではもう一度CCIの計算式のこの部分を見てください。

小次郎講師
さっき瞬くんが「エグいわぁ…」とかエセ関西弁で言っていたように
この「TP」のアルファベットがまず分かりにくい原因ですよね。
瞬くん
(き、聞いてたんだ…恥ずかしい…)
小次郎講師
このTP「Typical Price」の頭文字で、
直訳すると「代表的な価格」という意味。
何が代表的かというと「高値と安値と終値の平均値」ということ。
瞬くん
それを代表的な価格と呼ぶんですか?
小次郎講師
実はテクニカル指標に使う価格というのはいくつか種類があるんです。
TPもその1つ。
通常よく使うのは「終値」ですよね?
瞬くん
そうですね。移動平均線も高値とか安値じゃなく、終値の平均値ですもんね。
小次郎講師
しかし、終値をその日の価格の”代表”と言っていいかどうかには
異を唱える声もあります。
瞬くん
そんな声が!?
小次郎講師
考えてもみてください。
終値をそもそも採用するというのは、それが一番直近の価格だからです。
だからそれが今現在の状況に一番近いだろうということでよく使われるんですが、じゃあそのロウソク足でものすごい高値を付けて終値は結構下がったね、という時に、その一瞬でも付けた高値を無視していいかと言われたら、決してそうじゃない。
瞬くん
そう言われると”代表”とは言い難いかも…
小次郎講師
その日1日価格がずっと動かなかったのに、
立会終了ギリギリに突然価格が上昇し出して、
終値だけ異常に高いとか、逆に終値だけ異常に安いなんてことも時にはあり得ますよね?
瞬くん
それはあり得ますね。
小次郎講師
だから、終値だけよりも1日に付けた価格それぞれの平均値の方が、
テクニカル指標の計算に適しているんじゃないかという考え方もあるんです。

瞬くん
なるほど。終値だけが全てじゃないんですね。
小次郎講師
テクニカル指標に使われる本日の価格には、主に次の種類があります。
あくまで参考と言ったところですが。

瞬くん
終値を採用するパターンしか知らなかった…!
小次郎講師
どれが良いとか、どれが一番正確か、という問題ではなく、
それぞれに特徴があるということなんですね。
瞬くん
そしてCCIを発明したランバートさんは高値と安値と終値を3で割った代表値の【TP】を使いたいんだ、と。
小次郎講師
そう、あくまでそういうことなんです。
瞬くん
こうやって見るとCCIの式の下半分は攻略したも同然っすね。
TPはただの代表値ですし。

小次郎講師
いえいえ、もっと攻略してますよ!
瞬くん
えぇっ!?
小次郎講師
式の右上にも注目してください。
この部分、今まで話したことの何かに似てませんか…?
瞬くん
分母の「σ」はよくわからないから置いといて…
えーと…
あ!!上で見た「移動平均線乖離率」の計算式とそっくりだ!
小次郎講師
お見事!
代表値と終値の違いこそありますが、この部分は乖離率の計算式が分かればあら不思議、途端に理解できる部分となるのです!!

瞬くん
並べてみると分かりやすいですねぇ。
小次郎講師
親戚といった意味が分かったでしょう?
実際にチャートで同時に表示してみても、似たような動きをしています。

瞬くん
ホントそうですね。
細かい部分は抜きにして、大まかな動きは一緒です。
小次郎講師
つまりCCIは移動平均線乖離率の変化ver.。
そしてこの「n日移動平均」の日数によく使われるパラメーターは14
瞬くん
RSIにも使われてた数字だ!
小次郎講師
あの有名なテクニカルアナリストのワイルダーさんが好んで使った数字ですね。やはり有用な数値には普遍性があるんですよ。
とすると、後はこの「σ」と式の左側の意味さえ分かれば
CCIの計算式は使えるようになりますね。

小次郎講師
しかし残念ながら良いところで、後半へ続く。
瞬くん
一回じゃ全部頭に入んないすからね…!次回に期待。
それにしても、この果樹園の地図記号みたいな「σ」は何なんですか?
小次郎講師
え!?果樹園のマークはこれでしょう!

小次郎講師
…と出してみたら意外と……似てるッッ!!
瞬くん
ほら!ですよね!?
あぁ。僕の好きな「梨」のこと考えたらまたヨダレが…
小次郎講師
本当に食いしん坊だな!!
瞬くん
ちなみに僕の地元は梨の産地なんですけど、
家の近くにある厳しめの進学校(?)の校則に「近隣の梨園に無断で立ち入ったら停学、梨を捥いだら退学」なんてのがあるとかないとか…
小次郎講師
梨で一発レッド!?
それこそ眉唾物ですねぇ…

おしまい

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