移動平均線とは

皆さんこんにちは。小次郎講師です。


このテクニカル指標解説のページでは、私が普段皆さんにお教えしているテクニカル指標をまとめた、
「テクニカル指標の辞典」のようなページにしたいと思っていますので、是非皆さんの日々のトレードにお役立てください。

 

今日はまずチャート分析の代表選手である「移動平均線」のお話からして参りたいと思います。

このオレンジで描かれている線が移動平均線です。
ここでは20日移動平均線を引いています。

○移動平均線の役割(1つ目)

移動平均線には2つの役割があります1つ目は価格の動きを”なめらか”にしてトレンドを見つけやすくすることです。
ローソク足は1本1本が長いので、トレンドがつかみにくいですよね。価格の動きを移動平均線で表すことで数字が平均化されてなめらかな動きになります。その結果、トレンドも見つけやすくなるわけです。

さてここでみなさんに質問です。
みなさんは移動平均線の計算式を覚えていらっしゃるでしょうか?
テクニカル指標の買いサイン売りサインを覚えるだけではなく、「その指標の持つ意味や「どこを見ているのかをきちんと理解することで初めてテクニカル指標を使いこなせるようになるのです。
簡単な計算式ばかりですので拒否反応を起こさずにまずは計算式を覚えることから始めましょう!

○移動平均線の計算式

日足でも週足でも月足でも、時間足でも分足でも使うことができるように”何本前”と記載していますが、分かりやすくするためにここに具体的な数字を入れてみましょう。

例:5日移動平均線の計算式
5日移動平均線=(本日の終値+1日前の終値+2日前の終値+3日前の終値+4日前の終値)÷5
となります。
この計算で出た数字を毎日繋いだものが移動平均線なのです。

○移動平均線の役割(2つ目)

移動平均線の役割2つ目は、その期間に買った人売った人が平均してどれくらい儲けているか損しているかが分かることです。

ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが移動平均値は過去N日の終値の平均値を表すと同時に、
過去N日間の平均的買値・平均的売値」を表しているとも言えます。

20日移動平均線で例えてみると、
20日移動平均線は毎日、過去20日間に買った人の平均買値(=売った人の平均売値)を計算して、現在の価格の位置に移動して描画しそれを繋げて線にした物です。

通常、平均値を求める場合は求める期間の中心にその結果を書くことが一般的ですが、移動平均線はそれを現在の価格の位置に移動して描画しています。現在の位置に移動させている平均値だから移動平均線という名前になっているのですが、

ではなぜ現在の価格の位置に移動して描画するのでしょうか?
それは、「過去N日間の平均的買値(または平均的売値)と現在の価格を比較するため」です!
現在の価格と比較することで過去N日間に買った人売った人が現在どれくらい儲けているか損しているかが分かりやすくなります。

○移動平均線の買いサイン・売りサイン

ここで一つ注意点。2本の移動平均線のクロスも同じようにゴールデンクロス・デッドクロスと呼びますが、まず基本なのは価格と移動平均線のクロスです。
ではなぜ、”ゴールデンクロスが買いサイン、デッドクロスが売りサイン”になるのでしょうか?

このチャートをご覧ください。

これはチャートに20日移動平均線を引いたものです。
つまりこのオレンジの線は、過去20日間に買った人の平均買値(=過去20日間に売った人の平均売値)を表しています。

チャートの左半分は価格が移動平均線の下にある状態ですね。
つまり過去20日間に買った人は損をしているということになります。

もし今あなたが買いのポジションを持っていたとすると、価格が移動平均線の下にある画面左側の状態ではどのような心理になるでしょうか?どんどん損失が広がっているわけですから、不安になりますし損失がこれ以上広がる前にロスカットをしようかと悩みますよね。

では真ん中付近はどうでしょうか?
この時期は価格が移動平均線の上にあるので過去20日間に買った人は儲かっています。買いのポジションを持ち続けていた場合、さっきまで広がっていた損失は利益に変化しています。利益が出ている時はウキウキ気分でいつ利益を確定しようかワクワクしながらチャートを眺めているでしょう。
つまりそれまで損失を出していた買い方が利益に変わる分岐点がゴールデンクロスなのです。

では逆にあなたが売りのポジションを持っていたとすると画面左側の価格が移動平均線の下にある状態では利益が出ているのでワクワクしながらチャートを眺めていますが、ゴールデンクロスによりそれまで出ていた利益は損失に変わってしまいます。ですが今度はデッドクロスすることで損失は再び利益へと変わっていきます。
つまりそれまで損失を出していた売り方が利益に変わる分岐点がデッドクロスなのです。

 

 

ゴールデンクロスにより強気になった買い方は価格が移動平均線の上にある限り利益が出続けている状態なので追加の買い注文を検討し始めます。逆に売り方は損失が広がっている状態なのでロスカットを検討し始めます。売りポジションを決済する際に出す注文は”買い注文”。つまり買い方も売り方も”買い注文”を出す状態になることで上昇相場は加熱していきます。
その為価格が上昇を続け市場から次第に売り方が撤退していきます。

ですがどんなに大きな上昇相場も(下降相場も同じく)いつしか終わりが来ます。
デッドクロスにより強気になった売り方は価格が移動平均線の下にある限り利益が出続けている状態なので追加の売り注文を検討し始めます。逆に買い方は損失が広がっている状態なのでロスカットを検討し始めます。買いポジションを決済する際に出す注文は”売り注文”。つまり売り方も買い方も”売り注文”を出す状態になることで下降相場は加熱していきます。
その為価格が下降を続け市場から次第に買い方が撤退していきます。

以上のことからゴールデンクロスが買いサイン、デッドクロスが売りサインになるのです。

○もみ合い相場

では次にこのチャートをご覧ください。
先程と同じくチャートに20日移動平均線を出しているものです。

価格が移動平均線と頻繁にクロスを繰り返しています。
このような相場をもみ合い相場と言い、もみ合い相場ではゴールデンクロスとデッドクロスが頻繁に繰り返されるので買いサイン売りサインとして機能しません。

ゴールデンクロスは下降トレンドが上昇トレンドに切り替わる局面、デッドクロスは上昇トレンドが下降トレンドに切り替わる局面で有効になる指標なのです。

 

さて次回はこの移動平均線を3本使った移動平均線大循環分析をお教えします!
お楽しみに。

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