移動平均線大循環分析Part4

みなさんこんにちは、小次郎講師です。
いよいよ移動平均線大循環分析の締めについて書きたいと思います。
移動平均線大循環分析の集大成を一緒にマスターしましょう!

◯移動平均線大循環分析の仕掛け

いよいよお待ちかねの仕掛けと手じまいの話に入る前に、投資における3種類の仕掛けをご紹介します。

例えば上昇局面の中で買ったある企業の株を1000円で決済したとして、900円でエントリーした人よりも800円でエントリーした人の方が大きな利益を手に入れることができますよね。
それならば仕掛けは早ければ早い方が有利に見えますが、早い仕掛けは大きな利益に結びつく反面『ダマシ』も多くなります
ダマシというのは、買いサインが出て買ったのにその後価格が上昇しない、売りサインが出て売ったのにその後価格が下降しないといったときのことです。
相場の世界に絶対は無いので、チャート分析を正しく行って買いや売りを仕掛け、逆方向に動いたときには冷静に損切りをするという事が重要です。

また、リスクは大きすぎてもダメですが少なすぎるリスクでは利益に繋がらないため、正しいリスク量で投資を行う事が大切です。
この事についてはゆくゆくしっかりとお教えしたいと思いますが、今回は『適切なリスク量で利益はできるだけ多く』を意識して、この3種類の仕掛けの使い分けをマスターしましょう。

 

【買いの仕掛け】

一番基本的な買いサインは移動平均線の順番が上から短期中期長期で3本の線が右肩上がりのときで、この条件が揃ったときには買いの本仕掛けをします。
本仕掛け・早仕掛け・試し玉の条件を表で見ていきましょう。

早仕掛けはステージ①で短期移動平均線中期移動平均線が上昇していれば、長期移動平均線がほぼ平行のときでも行います。

試し玉ではもう1段階早く、長期移動平均線が下降を緩めた段階で仕掛けます。このときは冒頭にも書いたように通常の3分の1から4分の1の、逆方向に進んでも痛手にならない量を仕掛けることが重要です。

ステージ⑥のときには線の傾きがどうであれ本仕掛けはしてはいけません。

早仕掛けは、短期移動平均線中期移動平均線が上昇しているときは、長期移動平均線がほぼ上昇もしくは平行であっても仕掛けてOKです。逆方向に進んだときの損切りの準備もお忘れなく。

試し玉の条件はステージ①と同様です。

ステージが⑤のときは本仕掛け・早仕掛け共にしてはなりません。ステージ⑤の持つ意味は『下降相場の終焉』ですから、一旦ステージ⑤に変化してもステージ④に戻るということがあるからです。

ステージ⑤での試し玉の条件は、短期移動平均線中期移動平均線が上昇していることを前提に、長期移動平均線の傾きで判断しましょう。

 

ということで、線の並び順と傾きによって仕掛けて良いときと悪いときがあり、仕掛けるときにも3種類の仕掛を使い分けることが必要です。
一例を実際のチャートで見てみましょう。

こちらはNYダウの日足チャートですが、仮に現在の価格をチャートの右端の18096.3ドルだとすると、(各ステージの1本目のローソク足の終値で計算しています)
ステージ①の本仕掛けだとエントリー価格は17006.8で現在+1089.5ドル
ステージ⑥の早仕掛けだとエントリー価格は16697.3で現在+1399ドル
ステージ⑤の試し玉だとエントリー価格は16413.4で現在+1682.9ドル
と、本仕掛けより早仕掛け、早仕掛けより試し玉の方が取れる利幅が大きくなりますが、先ほども書いたように仕掛けが早くなるほどダマシも多くなるので注意が必要です。

 

【売りの仕掛け】

売りの本仕掛けをして良い条件は移動平均線の順番が上から長期中期短期で3本の線が右肩下がりのときです。
早仕掛けと試し玉の条件も見ていきましょう。

早仕掛けはステージ④で短期移動平均線と中期移動平均線が下降していれば、長期移動平均線がほぼ平行のときでも行います。

試し玉ではもう1段階早く、長期移動平均線が上昇を緩めた段階で仕掛けます。繰り返しになりますが、試し玉は通常の3分の1から4分の1の、逆方向に進んでも痛手にならない量を仕掛けることが重要です。

ステージ③のときには線の傾きがどうであれ本仕掛けはしてはいけません。

早仕掛けは、短期移動平均線中期移動平均線が下降しているときは、長期移動平均線がほぼ下降もしくは平行であっても行います。逆方向に進んだときの損切りの準備もお忘れなく。

試し玉の条件はステージ④のときと同様です。

ステージ②のときは本仕掛け・早仕掛け共にしてはなりません。ステージ②の持つ意味は『上昇相場の終焉』ですから、一旦ステージ②に変化してもステージ①に戻るということがあるからです。

ステージ②での試し玉の条件は、短期移動平均線中期移動平均線が下降していることを前提に、長期移動平均線の傾きで判断しましょう。

こちらも一例を実際のチャートで見てみましょう。

これは米ドル円の日足チャートです。仮に現在の価格をチャートの右端の109.232円だとすると、(各ステージの1本目ローソク足の終値で計算しています)
ステージ④の本仕掛けだとエントリー価格は110.699円で現在+1.467円(=146.7pips)、
ステージ③の早仕掛けだとエントリー価格は111.121円で現在+1.889円(=188.9pips)、
ステージ②の試し玉だとエントリー価格は111.930円で現在+2.698円(=269.8pips)
と、本仕掛けより早仕掛け、早仕掛けより試し玉の方が取れる利幅が大きくなりますが、買いと同じように仕掛けが早くなるほどダマシも多くなるので注意が必要です。

 

◯移動平均線大循環分析の手じまい

【買いの手じまい】

基本的に買いの手じまいのタイミングは、『ステージ①が終了したら』だと思っていただいて構いません。
ただ、トレンドが始まって間もないときや、中期移動平均線長期移動平均線(特に長期線)が安定して上昇しているときは一時的な押し目で再度上昇する可能性が高いので、ステージ②に移行しても様子を見ましょう。
ただし、トレンドが終盤に来ているとき、上昇相場が加速しているとき、上げ幅が大きいときはステージ②に移行するワンテンポ前に手じまいます。

【売りの手じまい】

基本的に売りの手じまいのタイミングは、『ステージ④が終了したら』です。
ただこちらも買いと同じように、トレンドが始まって間もないときや、中期移動平均線長期移動平均線(特に長期線)が安定して下降しているときは一時的な戻りで再度下降する可能性が高いので、ステージ⑤に移行しても様子を見ましょう。
ただし、トレンドが終盤に来ているとき下降相場が加速しているとき下げ幅が大きいときはステージ⑤に移行するワンテンポ前に手じまいます。

では、ステージが変化しても我慢するとき・ステージが変化する前に手じまうときとは一体どんなケースがあるのか、チャートと一緒に見てみましょう。

 

【ステージが変化しても我慢するとき・早めに手じまうときの具体例】

私の経験と研究の結果、トレンドは『3段上げ・3段下げ』という場合が最も多い事が分かりました。
ここでは長くなってしまうのでなぜそうなるかは割愛しますが、上昇トレンドなら上昇と押し目を1段と捉えて、上昇の1段目・2段目なら短期移動平均線が帯に突入しステージが変化しても我慢してポジションを持ち続けますが、3段目の上昇の際はステージが①から②に変化するワンテンポ前に手じまうことがポイントです。

何故 上昇の1段目2段目では、短期移動平均線中期移動平均線とデッドクロスしてステージが変化しても我慢するのか。
それは、ある程度価格が上昇すると買いで利益を取った投資家は「この利益を確定させておきたい」と思い利益確定の売り注文を出します。その為価格は一時的に下がりますが、利益を確定させたら再び買い注文を出すという投資行動により、その後再度トレンドに従って価格が帯に跳ね返され上昇する、というパターンが勢いのあるトレンドの中ではよく見られるからです。

その為、大きなトレンドを取る為に上昇の1段目2段目では多少の押し目も我慢します。
ですが3段目の上昇の際には、短期移動平均線中期移動平均線が近づいてきたら、デッドクロスするワンテンポ前に手じまいます。

何故なら、3段目の上昇の後トレンドが一気に転換し価格が大きく下落することがしばしばあるからです。

このように、3段目の上昇の後価格が一気に下落していることが分かります。

決済が遅れるとこれまで積み上げてきた利益が減ってしまいますので、3段目の上昇は短期移動平均線が帯に突入する1テンポ前に手じまいましょう。

もちろん、強いトレンドでは4段上げ5段上げになることもありますが、段数が増えれば増えるほどトレンド終了の際に価格が大きく下落する確率が高いのでワンテンポ早い手じまいを心がけましょう。

 

下降トレンドも同様です。

価格がある程度下降すると、売りで利益を取った投資家の利益確定の買い注文によって一旦価格が上昇しますが、その後再びトレンドに従って売りの注文が出され、価格が帯に跳ね返されて下降しています。

上昇トレンドと同じように、1段目と2段目の下降では短期移動平均線が帯に突入しても我慢してポジションを持ち続けます。

続いて3段目の下降の最後にご注目ください。大陰線が出て下降トレンドが底打ちし、その後大陽線が3本連続で出現してトレンドが転換しています。
こちらは下降相場が加速しているときはワンテンポ早く手じまう、というケースの典型的なパターンでもありますね。

決済が遅れるとこれまで積み上げてきた利益が減ってしまいますので、このように下降相場が加速しているときや3段目の下降は短期移動平均線が帯に突入する1テンポ前に手じまいましょう。

 

◯おわりに

移動平均線大循環分析は視覚的・直感的に分かりやすいので初心者の方に最初に覚えて頂く分析方法として私は大変重宝しています。簡単であるにも関わらず、マスターすればトレードを大変有利に進める事ができます。
これからも様々なテクニカル分析を書いていきたいと思いますが、まずはこの移動平均線大循環分析をしっかりマスターして頂ければと思います。
皆さん、お疲れ様でした。

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