MACD Part1ーマックディ線ー

こんにちは、小次郎講師です。

今回から、プロのトレーダーにも大変人気の指標であるMACDの解説に入っていきます。
MACDは移動平均線から算出される指標である為、移動平均線大循環分析ととても相性が良い指標です。是非一緒にマスターしましょう!

 

MACDとは

MACDは”Moving Average Convergence / DivergenceTrading Method ”というのが正式名称であり、「マックディ」と読みます。

前半の2つ、”Moving”と”Average”はそれぞれ”移動”と”平均”を意味する単語なので簡単ですね。
MACDは移動平均線から算出されている指標だという事が名前からも分かります。

そして後半の2つ。”Convergence(収束)”と”Divergence(拡散)”が難しく見えますが、これは移動平均線が近づいたり(収束)離れたり(拡散)する事を表しています。
私は分かりやすく、『移動平均線くっついたり離れたり分析と呼んでいます。

 

ではMACDとはどんな物なのか、チャートでご覧ください。

オレンジの枠で囲われた、移動平均線の下に別枠で表示されているのがMACDです。

このようにチャートの下側に別枠で表示されている指標はオシレーター系の指標、移動平均線のように価格と一緒に描画されているものはトレンド系の指標と呼びます。
2つの違いを見てみましょう。

ではMACDは画面の下側に表示されているのでオシレーター系の指標かというと、実はこれには諸説あります。

MACDはチャートの下側に別画面で表示するのでオシレーター系の指標であるという説が一般的ですが、トレンド系の指標の移動平均線から算出されるので、トレンド系の指標であると解説される場合もあります。

ここで1つ重要ポイント。
MACDでは前回解説した指数平滑移動平均線(EMA)を使う事が前提条件になっていますので、皆さんのチャートに表示させる時には単純移動平均線(SMA)ではなく指数平滑移動平均線(EMA)を使いましょう。

 

 

MACDを構成する要素1つ目ーマックディ線とはー

冒頭のMACDをつけたチャートを拡大して見てみましょう。

このようにMACDは2本の折れ線グラフと1つの棒グラフで構成されています。

2本の折れ線グラフは「MACD(マックディ線)」と「シグナル」、黒の棒グラフは「ヒストグラム」という名前です。

テクニカル指標そのものの名前と、それを構成する一要素の折れ線グラフが同じ名前な事で混乱しやすい状況が生まれてしまいますよね。
私は分かりやすいように、テクニカル指標は英語の「MACD」、それを構成している折れ線グラフは「マックディ線」と使い分けています。このサイトでもこのように使い分けて解説しますのでご安心ください。

まずはマックディ線の計算式から勉強しましょう!

 

計算式を覚えるのは苦手だと思ったそこのあなた。難しい計算式は1つも出て来ないので大丈夫です。
世の中のチャート分析を扱った書籍の中には、計算式は覚えなくて良いと解説している物もありますが、私は計算式を覚える事は非常に大切な事だと考えています。

何故なら、テクニカル指標の売買サインだけを知っても何故それがサインになるのかを理解していなければ、その指標を使いこなす事はできないからです。
テスト勉強の際に過去問題の答えだけを丸暗記しても、解き方を知らなければ実際のテストで問題を解く事はできないですよね。それと同じです。

計算式を覚える事以外にも私がテクニカル指標を学ぶ時に大切にしている5つのルールをご紹介しましょう。

計算式を覚える・意味を理解すると言っても、出てくる計算式のほとんどは中学生までの数学で理解できる物ですので、拒否反応を起こさず一緒に見ていきましょう。

 

①マックディ線の計算式

とても簡単な計算式です。冒頭にも書いたように、移動平均線を使って算出されている事が分かります。

 

②計算式の意味

MACDを開発したジェラルド・アペル氏は12日26日というパラメーターを最も推奨していますので、この数字を当てはめてみると、

となります。

12日EMAの値から26日EMAの値を引くという事は、期間の違う2本の移動平均線の差がどれ位開いているのか表しているという事です。
つまりマックディ線は2本の移動平均線の間隔の変化を見ているのです。

では、何の為に2本の移動平均線の間隔の変化を見ているのでしょうか?

 

③計算式がどこを見ているか

こちらのチャートをご覧ください。

チャート左上の12日EMAが26日EMAとデッドクロスしている部分をご覧ください。
2本の線がクロスしている価格は約20,500円だという事が分かります。つまり、12日EMAと26日EMAが全く同じ価格になった時、2本の移動平均線がクロスし、その差を表しているマックディ線の値はゼロになるのです。

従って、マックディ線がプラスからゼロラインを超えてマイナスに転じるという事は12日EMAの価格が26日EMAの価格を下回り、2本の移動平均線がデッドクロスした事を表し、マックディ線がマイナスからゼロラインを超えてプラスに転じるという事は12日EMAの価格が26日EMAの価格を上回り、2本の移動平均線がゴールデンクロスした事を表します。

つまり、2本の線の間隔を表すマックディ線がゼロラインに接近していく様子を見れば、移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスを先読みする事ができるのです。

また、マックディ線とゼロラインの間隔が広がっている時はそのトレンドが安定していると分析する事もできます。

 

その指標の買いシグナル·売りシグナルを学ぶ。

ここまで来れば皆さんもうお気付きの事でしょう。マックディ線の売買サインは、

となります。

 

⑤それが何故買いシグナルなのか何故売りシグナルなのかを理解する。

これは移動平均線の復習になりますが、ある一定期間に買っていた投資家が損失から利益に転じ、売っていた投資家が利益から損失に転じる分岐点になるのがゴールデンクロスなので、ゴールデンクロスが起きると市場は買い方が優勢になります。その逆に、デッドクロスが起きると、それまで利益を出していた買いの投資家は損失に転じ、損失だった売りの投資家が利益に転じる為、市場は売り方が優勢になります。

チャートで見てみましょう。

短期売買勢力の平均値を表している12日EMAが長期売買勢力の平均値を表している26日EMAとゴールデンクロスするという事は、目先の買い勢力が勢いづいているという事なので価格は上昇していきます。その逆に、12日EMAが26日EMAとデッドクロスするという事は目先の売り勢力が勢いづいているという事なので価格が下落していきます。

それに伴って、12日EMAと26日EMAの間隔を表すマックディ線がゼロラインを超えてプラスに転じると価格が上昇し、マイナスに転じると価格が下落する事が分かります。

その為マックディ線のゼロライン超えが買いサイン、ゼロライン割れが売りサインとして働くのです。

 

そしてもう1つ、マックディ線は価格に先行するという特徴を持ちます。

これは、価格が上昇し、やがて上昇が緩やかになり天井打ちし、その後下げ出す。そして下降が緩やかになり底打ちするという典型的なパターンの価格変動を分かりやすく単純な動きに置き換えて、12日EMA・26日EMA、マックディ線がどう動くかを検証してみたものです。

価格の天井とマックディ線の天井・価格の底とマックディ線の底の位置に注目して頂くと、マックディ線の天井と底は価格の天井と底に先行している事が分かります。

実際のチャートでも確認してみましょう。

このように、実際のチャートでも価格よりも先にマックディ線に天井・底が現れています。

上昇トレンド・下降トレンドが勢いを失っていく時、2本の移動平均線は段々と距離を縮めていきます。2本の移動平均線が距離を縮めるという事はマックディ線はゼロラインに近づいていきますから、それまでゼロラインに遠ざかる方向に進んでいたマックディ線が向きを変えゼロラインの方向に進み始めるという事は、上昇トレンド・下降トレンドの終了を示唆しているのです。

但しこれはどのケースでも必ず先行するという訳では無く、また一時的な押し目や戻りで2本の移動平均線同士が近付いた結果マックディ線がゼロラインに向けて動き出すということもよくありますので、マックディ線の天井打ち・底打ちだけを売買サインとするのは難しいでしょう。

 

さて、マックディ線の売買サインは”マックディ線のゼロライン超え”と”ゼロライン割れ”でしたが実はこれには注意点が2点あります。

注意点① 価格がもみ合い状態の時

このように価格がもみあい状態の時にはには12日EMAと26日EMAが頻繁にクロスするので、それに伴ってマックディ線も頻繁にゼロラインとクロスを繰り返します。

もみあい状態の時には、マックディ線がゼロラインを超えてもその後価格の上昇が継続しない、ゼロラインを割れ込んでもその後価格の下降が継続しないという事が起きる為、マックディ線のゼロライン越え・ゼロライン割れが売買サインとして機能しなくなります。

 

注意点② サインの出現が遅い

このチャートをご覧下さい。

ゴールデンクロス・デッドクロスは有効な売買サインですが出現するのが遅い為、2線がクロスした時には価格がある程度上昇・下落してしまっています。

より多くの利益を出す為には、もうワンテンポ早いシグナルが欲しい所ですよね。
ではここで、先ほどのチャートにもう1本線を追加してみましょう。

これはMACDの2つ目の要素である「シグナル」という線をつけたチャートです。

シグナルを付けた際には、マックディ線とシグナルのゴールデンクロスが買いサインマックディ線とシグナルのデッドクロスが売りサインになります。売買サインの出現が先ほどよりもワンテンポ早くなっている事が分かりますね!

先ほどもお書きしたように、売買サインだけを知るのではなく何故それがサインとして働くのかを知る事が大切ですので、「シグナル」は一体どんな物なのか、次回はその本質を見ていきましょう。

それでは次回もお楽しみに。

 

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