注目チャート53|イタリア10年債利回り

皆さんこんにちは。

トランプ米大統領は5月24日、シンガポールで開催予定であった北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との「米朝首脳会談」を中止する意向を明らかにしました。
北朝鮮の金委員長はこの発表に慌てて急きょ、異例ともいえる韓国との首脳会談を板門店で行い、米朝首脳会談開催への「確固たる意志」を表明し、決裂回避に動きました。
その後、トランプ大統領はツイッターで、会談中止から一転して会談開催に含みを持たせ、更に、「開かれるとすればシンガポールで、6月12日になりそうだ」と発言し、北朝鮮側と協議を進めていることを明らかにしました。
トランプ大統領は「取引が上手い」という声や、「ちゃぶ台返しの交渉ばかりだ」といった声が聞こえてきますが、いずれにせよ、マーケット関係者が一喜一憂しやすい発言が続いています。

政治家の言動、行動は、マーケットに直結しますので、振り回されないようにしたいものですね。
今週の気になるチャートは、ある国の大統領の発言が影響を与えた銘柄を見てみようと思います。

今週の注目チャート(移動平均線大循環分析)

イタリア10年債利回り 日足    5月29日現在

上記のチャートは、イタリア10年国債の利回りの日足チャートです。
昨年は穏やかな動きが続いていたイタリア国債の利回りですが、今年の5月になってから金利が上昇しているのが分かります。
上昇という表現や急騰という表現では足りないというような上げ方をしています。
イタリアの国債の利回りが急騰しているということは、イタリア国債は人気が無くなって急落しているということです。
いったい、イタリアに何が起きているのか・・・・
では、チャートのステージを見ていきましょう。

移動平均線大循環分析によるステージCHECK!

現在のステージは第1ステージとなっています。
第1ステージは移動平均線大循環分析においては上昇期となります。
小次郎講師流に見れば、帯が傾きを持って間隔が広がっていますので、トレンドに勢いがあるのが分かります。
今年に入ってからは揉みあい相場になりそうなチャートの形状でしたが、そうとはならずに正に棒上げ状態となっています。
ボラティリティ―(変動率)が高くなればなるほど、調整も大きくなりますので、短期移動平均線と帯の関係を確りと「CHECK」していきましょう。

チャートの注目ポイント

欧州各国で問題となっている移民の増加が、イタリアに飛び火し社会問題になっており、今日の混乱に繋がっているようです。
今年の3月に行われた総選挙では、反EUや移民排斥などを掲げていた大衆迎合主義(ポピュリズム)の「五つ星運動」や極右の「同盟」などが議席を伸ばす結果となりました。
しかし、単独で過半数議席を握る政党がない「ハングパーラメント」(宙づり議会)状態となり、議会と政治の混乱が深刻になりました。
そして、総選挙以降「五つ星運動」と「同盟」が連立政権樹立を目指していましたが、次期首相に指名されていたジュセッペ・コンテ氏が、
財務相の人選を巡ってマッタレッラ大統領と合意できずに組閣を断念し辞任したことで、混乱に拍車が掛りました。
このような状態のときは、急騰があれば急落もあるのが相場です。
間違いなく変動率が高くなっていますので、今後の動向を慎重に見ていきましょう。

このチャートをどう見るか?

マッタレッラ大統領は、国際通貨基金(IMF)の元局長カルロ・コッタレッリ氏を新首相に指名しました。
コッタレッリ氏は、財政再建など欧州連合(EU)と協調する姿勢を見せており、「五つ星運動」と「同盟」の反発は必至です。
両党でイタリア両院の過半数に達するため、今後の政権運営の不透明さが増しています。

新内閣は宣誓によって発足しても、両党が反対すれば法案などが通らず、政権運営は滞りますので、場合によっては秋にも再選挙になる可能性が懸念されています。
そうなると、次回選挙がユーロを巡る国民投票となるかもしれず、また、再選挙の結果によっては、急進的な政府が誕生する恐れが出てきます。
今後政局がどうなるかはわかりませんが、現在のイタリア10年債利回りは値ごろ感からすれば高すぎると感じるかもしれません。
しかし、2012年のギリシャショックの時には、ギリシャ10年債利回りは30%を超えていましたので、高いと決めつけずに、確りとチャートをみていきましょう。

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