皆さん、今年の夏は満喫されましたでしょうか。高校野球も終わり、いよいよ夏休みも終わろうとしています。早い学校ではすでに2学期が始まっているというところもあるようですね。残暑が厳しいですので、避暑がてら「お化け屋敷」で涼んでみるというのはいかがでしょう。相場格言に「幽霊と相場は淋しい方に出る」という言葉があります。今週の「S」の気になるチャートとしては、特に強い材料があるわけでもないのに上昇が続いている「ユーロドル」を取り上げてみようと思います。
今週の注目チャート(移動平均線大循環分析)
ユーロドル 週足チャート 8月30日現在
ユーロドルの上昇が続いています。昨年はユーロの下落に伴いユーロドルはパリティとなると予想されていた方も多かったように思われます。パリティとはユーロとドルが等価となることで、つまり1ユーロ1ドルとなることです。ところがマーケットは市場関係者の予想を反して今年に入ってからユーロの反発が続いています。ニュースを見ている限りユーロが強くなって買われるような材料は少なく、ユーロ買いを強く推奨するようなコメントも少ないように思われます。幽霊相場となっているのかどうか、「ユーロドル」のチャートを見てみましょう。
移動平均線大循環分析によるステージCHECK!
現在のステージはステージ1となっています。ステージ1は移動平均線大循環分析では安定上昇期となります。
小次郎講師流にいえば、帯に傾きが出て間隔が広がっていますので、上昇トレンドに勢いがあるのがわかりますよね。帯の傾きと間隔の変化に注意しながら、短期移動平均線の動きを「CHECK」していきましょう。
ズバリ!注目点
為替はシーソー・ゲームの要素がありますが、ユーロとドルのシーソーとなれば、今回はユーロが強くて上昇したというよりは、トランプ政権に対する懸念からくる米国の政局不安により安全資産である米国債に資金が流れ、それに伴い米10年債利回りが低下していることが、ドル安ユーロ高に繋がっているとみるのが妥当と思われます。
先週米国のジャクソンホールで金融シンポジウムが開催されましたが、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は金融政策に言及しませんでしたので、マーケット関係者が米追加利上げのペースは緩やかになると判断したことで更にドル安ユーロ高に繋がりました。今後のユーロドルの鍵を握るのは米国の金融政策と思われますので、FRBの動向に注目していきましょう。
「S」の目線
ファンダメンタルズ派の方にとっては、ユーロ高の理由が見当たらないということで、ユーロ高は続かないという意見が2~3か月前辺りから多く見受けられています。しかし、結果はユーロ安とはならずにユーロ高が続いています。昨年はユーロがパリティ相場になるとみたファンド筋が徹底的に売りを浴びせましたが、パリティとならずに巻き戻しから反転しました。
今回は前回とは逆にIMM通貨先物でのファンドのポジション状況を見ると、ファンドのユーロの買い越し枚数が約6年ぶりの大きさとなっているのが分かります。買われた反動はいずれ出てくるでしょうが、決め打ちの相場観は厳禁です。移動平均線大循環分析でステージに変化が出るまでは、焦らずに見ていくことが必要です。テクニカル分析派はチャートの変化に目線を向けております。材料が有ろうと無かろうと、ステージ1は安定上昇期であり、ステージ4は安定下降期であり、それ以上でもそれ以下でもありません。相場の流れに素直についていきましょう。
(ライター「S」)