本コラムでは、今までに色々な投資の形態についてお話をし、口座開設についてや、売りと買いについても触れてきました。そこで実際に売買してみよう!と思った矢先、いざ注文しようとしたらたくさん注文方法ががあって「??」となってる人も多いのではないでしょうか?(私はそうでした 笑)
そこで今回は、トレードにおいて数多く存在する注文方法の主だったものに焦点を当てて、どのサイトよりも現代口語的にふんわり解説していこうと思います!
ただこの項目はかなり多岐にわたり、扱う投資商品によっても異なるので、まずはFX等で使われることの多いものをピックアップしてご紹介していきましょう。
取引時間が決まっている商品ならではの注文方法はまた次回。
(共通する注文方法も多数ありますが)
成行注文
「なりゆき」と読みます。
これは文字どおり「相場の成り行き」に任せて売買する注文です。とにかく今の値段付近で注文を確実に成立させたい時に使う注文方法ですね。
「思い立ったからには今すぐ買うんす!」という時に使用。よって、表示されている値段通りにならないことも多く、ボタンを押した瞬間の値段とは若干異なることもしばしば。注文の中で使用頻度は一番高いかと。
ストリーミング注文
証券会社等のシステムによっては成行注文と一緒にされている場合も多く、確かに注文方法は似ています。
違いは何かと言うと、「今表示されてる価格とあんまりにもズレたら売買しないんだからねっ…!」という注文な点です。
この注文価格と約定価格が異なることを「スリッページ」、いわゆる“価格が滑る”と呼ばれるものがこれなんですが、スリッページの許容範囲、例えば「◯円以内のズレなら成立させちゃってOK」、みたいな幅を自分で決めて注文を出すことになります。よってその差が大きいと注文を出したのに約定されない、ということも起こり得ます。
注文後の取引照会画面は必ずチェックで。
指値注文
「さしね」と読みます。現在の価格よりも低い〇〇円になったら買う、現在の価格よりも高い〇〇円になったら売る、という好みの値段を狙い撃ちして売買をする注文方法です。まさに「値」段を「指」定するんですね。相場の鉄則である「安値で買う、高値で売る」という原理に即しているので、どういう時に使うかというと、例えばもみ合い中のレンジの上限でもう下がるだろうからこの高い値段で売る、下限できっと跳ね返されて上がるだろうから安い値段で買う、という投資行動が当てはまります。逆張りに使用、とも言えますね。
そしてここまできたらもう天井・底だろうと決済の注文を予め出しておく時もこれを使います。持っている買いポジション、それを価格が現在よりも高い〇〇円になったら売って決済、という指定ですからね。
ただし!その目標値段が高いか安いかなんてのは後々になって分かる結果論ですので、先に目標値段を設定するとその後のトレンドをみすみす取り逃がしてしまうことにも繋がるので注意が必要です。
逆指値注文
指値の逆で、現在の価格よりも高い〇〇円になったら買う、現在の価格よりも低い〇〇円になったら売る、という原理の注文方法です。「もう高いのにそこから買うの?安値なのにそこからさらに売るの!?」と思われるでしょうが、そこには理由があるのです。
(この一見普通の投資行動と反対のことをしているように見えるから「逆」というネーミングなんでしょうね)
使用する場面は、例えばトレンドが発生している時。意識されている高値の抵抗線をもし破ったならそこから更に価格が上昇するなんてことは、強いトレンドが発生していたらよくあることですよね。そこで、「この〇〇円の高値を突破したらその勢いに乗って上がると思うから買う!」という時に出す注文は「現在より高い価格で買う」という逆指値注文となるのです。(売りも同じ理由)
他にはロスカット注文もこれにあたります。現在例えば100円で買いを持っていたとします。その時に価格が残念ながら下落し、「98円になったらもう耐えられないから、98円まで下がったらロスカットで潔く売ろう…!」と思って98円に売りの決済注文を入れるのも、現在の価格よりも低くなったら売る、という原理に当てはまるので、逆指値注文ということになるのです。(上昇による売りのロスカットも同様)
リスク管理には必須の発注方法、とも言えますね。この注文をうまく使えるかでトレードの結果が全然違ってきますので、勝つためにかなり大事な注文方法であると僕は思います。
OCO注文
「オーシーオー」注文ですね。これは「One side done then Cancel the Other order」の略で、読んで字のごとく「一つの注文が成立したら、もう一方の注文はキャンセル」ということ。どういうことか?
噛み砕いて言うと「2個同時発注!どちらかが成立したらもう1個は自動でキャンセルしときますよ!」という注文。
例えば現在の価格が100円で、101円になったらそのまま上がっていきそうだから買いたいし、99円になったらそのまま下がりそうだから売りたいなと思ったとします。その時は101円に買いの逆指値…①、99円に売りの逆指値を入れ…②、の2つを同時に発注する。そしてその後①になれば②はもう必要ないですから自動でキャンセルされ、②になれば①の注文は解消される。こういうシステムです。
上記は新規注文の場合ですが、例えば既に今ポジションを持っている状態の時の決済注文にも使うことができます。
100円で買いのポジションを持っていると仮定して、そのまま思惑通り上がってくれたら天井あたりであろう101円で利益確定して売りたい(※指値)…①、もし思惑外れて99円まで下がっちゃったらそこが損切りラインだからロスカット注文で売りたい(※逆指値)…②という時にもOCO注文を出しておけば、そのどちらかに価格が引っかかった時点で片方が成立し、片方が解消されます。
こういった色んな場合に応じて「買い&買い」「売り&売り」「買い&売り」「指値&指値」「逆指値&逆指値」「指値&逆指値」と使い分けられるのがこのOCO注文の特徴です。
若干複雑ですが 笑
IFD注文
「イフダン」注文です。「IF Done」ということは、「もしそうなったら…する!」という意味ですね。ここで大事なのが「…する!」の部分で、「もし①になったら②もする」の②の部分がこの「…する!」に含まれているのです。ということで、これも2つの注文を同時に出すことができるのですが、「じゃあOCOと同じじゃん!」と思われた方、違うのです。
OCO注文との違いは何かというと、このIFD注文は順番に応じてそれぞれが順に約定されるという点。
(OCO注文は同時に出ている順不同の注文どちらか一方しか成立しない)
OCOが「① or ②」だとするとIFDは「① → ②」と言えます。
具体的な数字を当てはめて説明しますと、今価格が100円です、という時に99円で底を打って価格が上昇しそうだから99円で買って…①、101円まで来たらもう十分なので利益確定したい…②、という具合でこの注文を出すと、99円になったら①が約定し、101円になったら②が約定されます。
ここで注意ですが、IFD注文は順序が大事なので①が約定されないと②になっても何も起きないのです。言い換えれば「もし①になったら②の発注もしとくよ」注文なのです。「新規売買」→「決済」の同時注文と捉えるといいでしょう。
よって逆もまた真なりで、OCO注文と違って99円になって買われた(①)としても、その後価格が上がらず98円、97円となっても何もアクションを起こしてくれないのです!(②はほったらかし)損は広がるばかり。
これも、価格の天井や底を勝手に予想しているだけに過ぎないので、使い時としてはロスカット注文として、が妥当かと。
「現在価格99円で上昇してきてるから、100円になったら買いたい…①、けど、もしそれがダマシに終わって98円になったらロスカットの売り…②を保険で入れておきたい。え?上昇したら利益確定はどうするんだって??それはどこまで上がるかなんて勝手に予想してたら大きな獲り幅をみすみす逃すことになるから、利益確定の手じまいは自分の判断でしますよ!」という使い方なら有効だと思います。
IFO注文、IFDO注文、IFDOCO注文
上記のような1番目は成立したけど2番目はほったらかしという現状をどうにかしたいと思ったどこかの欲張りさんが考え付いたのが、この注文方法。
様々に表記されますがどれも同じで、読み方は「イフダンオーシーオー」。
まさに「IFD+OCO」の合わせ技発注法です。
「もし①になってエントリーしたら、OCOのように②か②’のどちらかで手じまいして…!」という心の叫びが聞こえて来そうですね。
具体例を言いますと、今価格が100円だとします。
「101円まで上がったら買いたい…①、そしてそれが102円まで上がったら利益確定をしたいから102円に売りの指値…②、100円に戻っちゃったら失敗だったなってことでロスカットの売りの逆指値…②’を入れて、どちらにせよほったらかしはなくしたい!」というわがままな要望にも応えてくれる注文。同時に3つの注文を出していますが、IFDとOCOの混合なので①が約定された場合のみ②or②’の発注がその後なされるのです。
まぁこれも利益幅を予め自分で決めてしまうことになるので、大きな相場を取り逃すリスクはあると思って良いでしょう。
トレール注文
「トレール」とは「Trail」であり「引きずる、尾をひく」等の意味を持つ言葉です。
それがどういった注文になるかというと、価格の変動に合わせて決済価格を「引っ張って」くれるのです。別名「トレーリングストップ」とも言われますね。
例えば価格が100円の時に、買いを入れたとします。その時、逆方向に行った場合のロスカット幅をトレール注文で-2円と入力したとしましょう。すると最初の価格ではロスカットラインが98円ですが、その後価格が上がり101円になったらロスカットラインも同じだけ自動で「引っ張り上げて」くれて、101円から-2円幅の99円に切り替わるのです。105円まで上がればそのラインは103円、という風に。価格が手じまいラインにタッチするまで永遠に追尾してくれて、一度切り上がった手じまいラインは下がることはありません。(売りの場合は切り下がった手じまいラインは引き上がりません)
ゆえに、トレンドに乗れた場合はある程度の利益は常に確保しつつ、手じまいは決められた価格幅で遂行してくれるので、せっかく利が乗ったのに、気付いたら大陰線でその利益幅をまるまる吹っ飛ばしてしまった…なんてことがなくなります。
ただし機械的に決められた範囲を一定で追尾するため、ロスカットラインが浅すぎると一時的な押し目でも引っかかってしまいますし、反対に深すぎると約定された時には利益の大部分を失ってしまう、ということにもなりかねます。よってこの価格幅をどう設定するかに知識と経験が必要になってくるとも言えるでしょう。
リバース注文
「ドテン(途転)」とも言われるこの注文方法。
この意味するところは、今まで持っていたポジションを決済し、即座に逆のポジションの新規注文を入れることを指します。
具体的にお話ししましょう。
今100円で買った買いのポジションがあるとして、101円ちょっとで天井打ちをし、下降相場に切り替わりそうな局面だったとします。そこで101円にリバース注文を入れておくと、価格が下がって101円になったら買いは利益確定で決済され、同時に自動で新たな101円の売り注文が入ります。
上記は利益確定の例ですが、ロスカットの場合も同様の考え方で、「100円で買ったポジションがあるのに、思惑外れて価格が現在99円付近になった…しかも、この下降の勢いは凄まじくまだまだ下がるだろう…!」と思った時に99円にリバース注文を入れ100円で買ったポジションは売ってロスカット、そこから新たな99円の売りポジションで、下げの利益を狙っていくことになるのです。
もちろんこれは手動でも即注文すれば同じようなことができますので、必ずしも使用しなければいけない注文方法ではありません。また、トレンドの切り替わり後はもみ合い入りとなる確率も一定率で存在するので、反転したから即飛びつく、というのが正解ではない場合も多々あります。
しかし急騰・急落などですぐに今のポジションを手じまって即反対のポジションを持ち、少しでも傷を浅くしその傷分を補填したい、という場合には良いかもしれませんね。
まとめ
様々な注文方法があってなかなか覚えきれないと思いますが、繰り返し具体例を考えながら読んで頂けると理解しやすいかなと思います。また、実際にやってみないと脳のシナプスが繋がらないので、損しても全く困らないデモ口座で色々実験して使ってみることをオススメ致します!
今回はほぼ24時間取引の銘柄で使われることの多い注文方法を紹介しました。
証券会社のシステムによって名称が異なったり、デフォルトで使えるものが決まっていたりの差はありますので、口座開設時にその辺りも踏まえて開設先を検討していただければ良いのではないかと。
次回は今回書ききれなかった、取引時間が決められている個別株等ならではの「寄り」や「引け」を絡めた注文方法をご紹介していきましょう!
インベスター俳優「瞬」