インベスター俳優「瞬」の劇的!初心者講座 その5【株式市場の種類】

この時期「やっと就活終わったんすよー!」と若い子から報告を受けると、良かったじゃん!とやはりこちらも嬉しくなるもの。
それは「おめでとう」という気持ちと共に、自分に報告してくれた甲斐甲斐しさから「可愛い奴め!」という感情が芽生えるからでしょう。

そんな最近就職活動を終えた後輩たちと話している時に、内定をもらった会社のことを尋ねていたら
うちの会社、多分上場してるとは思うんですけど…」とポツリ。
「え!?お前さん、そんな知らない状態でよくその会社選んだな!(というより、その会社のこと知らない人間をよく会社側も採用したな…!)」と僕はツッコまずにはいられませんでした。

「じゃあ、どこに上場してるの?」と聞くと
「さぁー…」となったので調べてみたら、その子の会社はマザーズ上場企業でした。

そしたら当然「マザーズってなんすか!?母親?」になりますよね、話の流れ考えたらそりゃもう。

ということで!
そんな若人も確かに多いんだろうなぁと思い、今回はよく聞く「東証一部上場!」とか「マザーズ?ジャスダック?ジャスラック?」あたりの話を噛み砕いてざっくりお話しできたらなと思います。

 

まず根本として、「株式会社」というからには、株式を発行して広く投資家からお金を募り会社を経営する資金を調達してますね。
でも、発行したからと言って勝手にそれが買われていくわけではありません。
野菜や魚が市場(いちば)で売られるのと同様に、発行された株にもそれが売買される市場(しじょう)が必要なのです。
それが株式市場。その中心となっているのが、まさに「証券取引所」。
そこで築地のように株に関するセリが行われていて値段が決まっていく、と考えると分かりやすいですね。

そして「東証」とよく聞くワードは「東京証券取引所」の略称。
東京証券取引所グループと大阪証券取引所(現・大阪取引所)の経営統合により新たに発足した「株式会社日本取引所グループ」が運営をしています。
つまり名前にある通り、ここも“会社”なんですね 笑
市場としては世界第3位の規模なのだとか!
兜町にあるあの建物が有名ですよね。

他にも名古屋や福岡にも証券取引所はあるのですが、地域に密着した企業を少数扱っているに過ぎず、証券取引は東証に一点集中しているのが現状です。
地方大会よりも、絶対甲子園目指す!みたいなところですね。

メリット・デメリットは細々色々とあるので、みんながみんな東証で自社の株が売買されることを目指す!というわけでもないらしいのですが、そこに株式を公開していろんな人に買ってもらいやすくする、いわゆる「上場」を企業はまず目指すと考えていいでしょう。

その東証のトップラインナップがずらりと並ぶ、日本企業の「顔」とも呼べるのが

「東証一部」

そこに名を連ねるのは超厳しい基準をクリアした大企業ばかり。まさに企業の「スター軍団」ですね。トヨタやNTTドコモなど、誰もが知ってる会社が揃い踏み。

もちろんそう認められるには大変な企業努力が必要であり、日本で一番「上場が難しい」と言える市場です。

条件の一例を挙げると、
「株主が2200人以上」「時価総額40億円以上」「過去2年間黒字の健全経営かつ経常利益の合計が5億円以上」などなど。
全ての情報を公開し投資家たちの厳しい目線に晒されるだけの“強度”を持つ会社が、このトップランクで戦うことを許されるのです。

その育成ファーム的な存在が一部の下に位置する

「東証二部」

いや、二部でも全然凄いんですが、まずは二部に上場して頑張ってその成果を認めてもらって、東証一部指定を目指す、という形となります。
サッカーで言うところの“J2”のような感じですね。
最近だと、かの「東芝」が債務超過により二部に降格したことが有名です。
ただ、一部よりも条件は多少緩いものの、厳しい審査基準に照らし合わせられることは言うまでもありません。

「じゃあマザーズやジャスダックって何なの?」と思われている方。
この流れだと“三部”があって然るべきなのですが、残念ながら三部はなく、そこに位置するのが「新興市場」と呼ばれる「マザーズ」と「ジャスダック」なのです。
両者とも東京証券取引所の株式市場で、成長企業が中心の市場です。
まさに“J3”。

マザーズ(Mothers)

は「Market of the high-growth and emerging stocks」の頭文字で(え?Rは?笑)
“東証一部を視野に入れた成長中の企業向け市場”といったところでしょうか。
創設は1999年。上場基準は一部・二部に比べるとかなりハードルが低く設定されているので、若手の企業や赤字企業も上場できます。「可能性」が重視されていると言っても良いでしょう。
また面白いことに、一定の条件を満たすと市場の変更が可能になる制度があり、例えば「マザーズ上場10年記念でマザーズ継続か東証二部への変更が可能」というものも。
まさに“RPGのジョブチェンジ”。
AmebaやAbemaTVで有名な「サイバーエージェント」がこのルールを使い、業績の良さなどから飛び級で一部に昇格した、なんてニュースが記憶に新しいですね。

ジャスダック(JASDAQ)

も同じように成長企業が集まる市場で、アメリカのNASDAQ(ナスダック)に倣って名付けられました。マザーズと何が違うのかと言うと、その出自
1963年に日本初の成長・新興企業向けの市場として登場したジャスダックですが、元々は正式な取引所のものではなく、証券会社の店頭で売買される、上場に至らない企業の株を取り扱う「店頭市場」として生まれました。
2004年に「株式会社ジャスダック証券取引所」となり、店頭売買から取引所へ参入。その後、大阪証券取引所に吸収合併され、2010年には新JASDAQが誕生。これは大阪証券取引所の新興市場であった「ヘラクレス」「NEO」と旧JASDAQ、3つの市場が統合されて出来ました。
そこからさらに統合は進み、2013年大阪証券取引所の現物市場が東京証券取引所に統合されたことで、現JASDAQも東証の運営となったのです。

こう、ジャスダックの方は成り上がりアウトローなストーリーを歩んできたんですね。

イメージで表すと、“ジャスダックが山谷で育った破天荒な兄”で、“マザーズが大事に育てられた堅実な弟”。

またジャスダックも実は2部構成となっており、
ある程度成長して存続性が認められた「スタンダード」と、将来性はあるがまだまだ発展途上な「グロース」という市場に区分されています。

市場規模としては現在マザーズは約240社、ジャスダックはスタンダード約700社、グロース約40社。ジャスダックの方が数としては多いんですね。

もちろん有名な日経平均のように「マザーズ指数」や

 

「JASDAQ指数」

のような経済指標もありますので、
ベンチャー企業界に今どんな風が吹いてるのかを逐一チェックすることもできます。

 

総合的に東証を見て、単純な上場基準の厳しさでサクセスストーリーを描くと

東証一部

東証二部

JASDAQ(スタンダード)

Mothers

JASDAQ(グロース)

となります。
株式公開までには審査や準備に少なくとも3年はかかると言われていますので、
上場はメリットばかりではありませんが、男ならその頂点を目指す道筋にどうしてもロマンを感じてしまいますよね!くーっ!熱い!

これがザックリとした上場企業の棲み分けです。
いかがでしたでしょうか?
これからは人の会社を聞いたら「それどこに上場されてるの!?」「何部?ねぇ、何部!?」と気になること確定ですね!
(ただし、こればかり聞いていると嫌な顔されるのでホントに程々に。)

これで若い人もどんどん会社に興味を持って、四季報なんかを読んでくれることを期待しています。

特にこの記事よ、君に(冒頭の自社をよく知らない僕の後輩に)届け。

 

インベスター俳優「瞬」

 

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